広島 福山 大雨で堤防決壊 広範囲で住宅など被害 (NHK)

広島 福山 大雨で堤防決壊 広範囲で住宅など被害

6月23日 17時48分
広島 福山 大雨で堤防決壊 広範囲で住宅など被害
22日未明からの大雨の影響で、広島県福山市では23日朝、市内を流れる川があふれたり堤防が決壊したりして、広い範囲で住宅などが浸水する被害が出ました。
広島地方気象台によりますと、福山市では22日未明から断続的に雨が降り、23日午前9時40分までの24時間の雨量が148.5ミリに達しました。大雨の影響で、市内の山手町では地区を流れる福川があふれ、広い範囲で住宅や農地が浸水する被害が出ました。
福山市が住宅地図を基に試算した結果、福川があふれたことによる浸水面積は最大で8ヘクタールで、最大およそ1050棟に被害が出たということです。また、山手町の南側の瀬戸町では猪之子川の堤防が決壊し、市によりますと、周辺の住宅など最大で36棟が浸水したということです。
福川と猪之子川は福山市内で瀬戸川と合流しますが、福山市によりますと大雨の影響で瀬戸川の水位が高くなって福川や猪之子川の水が流れ込むことができず、あふれたり決壊したりしたのではないかということです。
福山市ではこのほか、南蔵王町の手城川があふれ最大で4ヘクタール、およそ600棟が浸水したほか、松永町の羽原川があふれ、最大で71棟が浸水したということです。また、沼隈町の山南川もあふれ、最大で0.3ヘクタールが浸水したということです。
国土交通省中国地方整備局によりますと、福川や猪之子川の下流にある瀬戸川の西神島観測所の水位は、23日午前2時ごろに「はん濫危険水位」を超え、最も水位が高かった午前4時ごろには、「はん濫危険水位」を1メートル以上も上回り、午前9時ごろまでおよそ7時間にわたって「はん濫危険水位」を超えていたということです。
福山市は、被害の詳しい状況を調べるとともに、復旧を急ぐことにしています。

近くの女性「部屋の畳が浮いた」

あふれた福川の川沿いに住む70歳の女性は「夫に言われて外を見たら、家の周りには水が膝の高さまであふれていた。1階の部屋の畳が浮いてきたので、布団を持って2階に上がった。30数年以上ここで商売をしてきたが、これまで川の水があふれたことはなかった」と話していました。

電動車両の女性が身動き取れず 救助活動も

広島県福山市では午前10時ごろ、高齢者向けの電動車両に乗ったお年寄りの女性が膝のあたりまで水につかり、身動きがとれなくなりました。
立往生している女性を見て多くの住民が駆けつけ、協力して女性を抱きかかえて水につかっていないところまで車両とともに移動させました。
救助に加わった近くに住む43歳の自営業の男性は「水につかって身動きが取れなくなっていたので、危ないと思いました。周りの人と一緒に助けることができてよかった」と話していました。

工場などに浸水被害

福山市瀬戸町では大雨の影響で、猪之子川の堤防がおよそ20メートルにわたって決壊し、周辺の広い範囲に水が流れ込みました。
このうち決壊した堤防のすぐ近くの産業用機械の製造やメンテナンスを行っている会社では、工場や敷地内にある事務所が40センチほどの高さまで浸水したということで、午前中から従業員が後片付けに追われていました。
この会社によりますと、工場にある機械の多くが水につかったほか事務所のパソコンも浸水で使えなくなったということで、会社では当面の間、営業を休止したうえで、新しい事務所を借りるための場所を探し始めたということです。
松本敏典専務は「雨でこんな状況になるのは初めてで、損失もどの程度になるか分からず途方に暮れています。きょう、後片付けをしても、あすからまた雨が降るということで本当に心配です」と話していました。

稲の生育に影響を心配する声も

今回の大雨で住宅や農地が浸水した福山市山手町では、田植えをしたばかりの田んぼが水につかり、農家の人からは稲の生育に影響が出るのではないかと
心配する声が聞かれました。
このうち、地区で農業を営む喜多村眞次さんの(67)広さ1ヘクタール余りの田んぼでは用水路の水があふれ、2週間ほど前に田植えをして20センチほどに生育した稲が、あふれた水で見えなくなるほど冠水しました。
稲は長時間、水につかると今後の生育に影響が出るおそれがあるということで、喜多村さんは「あす、また雨が降ると言われていますが、対策を取ることができないので心配です。雨の量が少なくなることを願っています」と話していました。

以上、NHKより引用