2016年4月28日付のWWF(世界自然保護基金)のWebサイト記事です。

専門家会議が京都スタジアム予定地の変更を提言 アユモドキ保全のゆくえ

草刈です。
京都府と亀岡市が進めようとしている、京都スタジアム(仮称)の建設計画について、新しい動きがありました。

報道によれば、京都府の環境専門家会議が、建設予定地を現在の南、亀岡駅の北に移すよう、府知事と亀岡市長に提言したそうです。

この専門家会議は、予定地に生息する絶滅危機種アユモドキの保護を含めた、環境保全についての諮問機関で、これまでにも環境への配慮に欠けた計画の問題点を指摘してきました。

今回の提言は、特にアユモドキをはじめとする絶滅危惧種の生息地から、スタジアム建設予定地を変更することを求めるもので、その点は私たちも歓迎したい内容です。

アユモドキ。IUCNのレッドリストで危機レベルが最も高い「CR(近絶滅種)」にランクされる、国際的な絶滅危機種。日本の固有種でもある。
ですが、これだけで本当にアユモドキの生息環境への影響が回避できるのか。確証はまだありません。

最大限の配慮を行なうためには、環境保全専門家会議はもちろん、これまでアユモドキ保護について再三、意見を述べてこられた日本生態学会や日本魚類学会などの専門家の方々にも助言を仰ぎ、保全を進めている関係団体とも協力できる体制をつくりながら、検討を行なう必要があるでしょう。

また、アユモドキは国の天然記念物ですし、「種の保存法」の指定種でもありますから、文部科学省や環境省も、生息地保全のための法整備や、土地の買い取り、そのための予算や人員の確保など、早急かつ実効性のある取り組みを行なうべきです。

先週、私たちはそうした趣旨をまとめ、自然保護団体や研究者の集まりなど56の団体と共に、アユモドキの保全を求める共同意見書を、両省に提出しました。

世界で日本にだけ生息するアユモドキの保護には、日本だけでなく、IUCN(国際自然保護連合)なども国際機関も高い関心を寄せています。

今後の動きに、引き続き注目したいと思います。

以上、WWF(世界自然保護基金)Webサイトより引用